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Channel: 黒猫の額:ペットロス日記
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【光る君へ】#36 嵐呼ぶ彰子の皇子出産で道長開眼?阿吽の呼吸のまひろ&道長に倫子様勘づく。彰子は青き衣へ

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皇子出産を機に、道長の心に何かが芽生えたか

 NHK大河ドラマ「光る君へ」第36回「待ち望まれた日」が9/22に、そして第37回「波紋」が9/29に放送された。

 我が家の東京脱出の引っ越しは伊豆へと9/26-27の2日がかりで実施され、先週はブログを休ませていただき、今週まとめて2回分書くつもりだ。まだ大量の段ボール箱に囲まれ、疲れてヘロヘロなのでサクッと書くつもりだが・・・毎度のごとくダラダラ長々行っちゃうかも。体力が持つか心配だ。お付き合いくださっている方々にはいつも感謝です。

 まずは第36回から。

(36)待ち望まれた日

初回放送日:2024年9月22日

一条天皇(塩野瑛久)の中宮・彰子(見上愛)がついに懐妊。宮中が色めきだつ中、まひろ(吉高由里子)は彰子から、天皇に対する胸の内を明かされる。一方、清少納言(ファーストサマーウイカ)は、まひろが道長(柄本佑)の指示で物語を書いたことを知り、伊周(三浦翔平)にある訴えをする。出産が近づくにつれて不安を抱える彰子に、頼りにされるまひろ。他の女房らに嫉妬されつつ、道長から新たな相談を受け…((36)待ち望まれた日 - 大河ドラマ「光る君へ」 - NHK

 第36回の見どころは、何と言っても彰子の出産シーンだった。「うるさいこと」とサポートの倫子様が彰子に言っていたが、加持祈禱の僧や、公卿の皆さん、まひろら女房らの「ノーマクサーマンダーバーサラダンセンダーマーカロシャーダーソワタヤウンタラターカンマン」という不動明王の真言を唱える声だけじゃなく(道綱がテキトーだったのがおかしかった)、物の怪を受け止める憑依の皆さんの叫び声も相当賑やか。

 あのしつこく最後まで憑りついていた「恐ろしく強い(by斉信)」物の怪が定子の霊だったのだろうか・・・そんなあ。「どうか、お鎮まり下さいませー!」と道長が頭を下げ、ようやく物の怪が鎮まった瞬間、彰子は皇子を出産した。この平安出産イベント一連の再現映像が見られて嬉しかった。

 こんなに賑々しいと、対照的に寂しかった定子の出産がどうしても思い出される。弦打ちの隆家なんか居眠りしちゃってね、その間に定子は死んじゃったのに・・・ひどかったよね。

 この時「皇子であったか・・・皇子」とつぶやいた道長が気になった。大いなる運命を感じて、心に期すものがあったかな。何か芽生えちゃったか。「鎌倉殿の13人」の北条義時のように、ここからホワイト道長が真っ黒になっていくのか。ヤダなあ。

彰子懐妊を巡る各々の思惑

 さて、時を戻すと、ドラマの冒頭では、まひろが筆を進める場面で「寛弘五(1008)年」と表示があり、花びらが散っていた。桜かな?そして、宮の宣旨が捧げ持ってきた「カヨウの香りでございます」で彰子がつわりによる吐き気を催したが、カヨウの香りって何だ?と思ったら、ちゃんと解説されている方がいた。

平安時代に高貴な方々に愛された薫物「荷葉(かよう)」
夏にもっとも香り高い薫物として知られている「荷葉」は
蓮の葉の香りになぞらえたものです。
源氏物語 梅枝編、鈴虫編にも登場します。(荷葉(かよう)の香り|草風日記 by melissa (note.com) 

 なるほど。でも、ドラマの帝は夏の紺じゃなくて白いお召し物だなあ・・・とすると、やっぱりまだ夏じゃないみたい。花が散る春なのだよね。

 道長が廊下を走り、土御門の倫子様に走って彰子懐妊の知らせを告げに来たが、道長夫妻にはこれまでの血と汗と涙の苦労も吹き飛ぶ待望の良い知らせ。涙をにじませて頷く倫子様の様子に、良かったね・・・と貰い泣きしそうになる一方で、その場で赤染衛門が「中宮様のご学問もお話し相手も今は藤式部(まひろ)が務めている」と伝えていたのが、先々のことを考えるとドキッとした。

 彰子はまひろを呼び、新楽府を密かに学んで「帝を驚かせ申し上げたい」と言った。身籠り、ますます后として向上心が芽生えた様子だ。が、それで、まひろと秘密の話をしたい彰子が「そなたらは下がれ」と命じたため、まひろは同僚女房達の嫉妬を買ってしまった。

 彰子の妊娠を巡る、各方面の思惑も面白かった。まずは久しぶりのF4の集いから。

斉信:中宮様のお子が皇子であったら、道長は盤石だ。めでたいめでたい!

公任:めでたいことはめでたいが、皇子であったらややこしいことになるな。

行成:ややこしいことはございません。これまでの倣いによれば、居貞親王様のあとは、帝の一の宮、敦康親王様が東宮になられるのが道理にございます。

公任:敦康様の後見は道長だが、もし道長が後見を辞めたらどうなる。

行成:そのようなことを、道長様がなさるはずがございません。

道長:(話す順番を示すトーキングスティックのように回されてきたつまみの皿を、黙って置く)

斉信:あれ?何も言わないのか。

道長:次の東宮様のお話をするということは、帝が御位をお降りになる時の話をするという事だ。この話はもう終わり!(席を立つ)

斉信:ここからが面白いのにな~。

公任:なあ。

 行成はホワイト道長の信奉者だからね。道長がダークに変わっていくとしたら、彼は道長の変化に着いていけるのか。それに、行成は親王家の別当?大夫?だったかで敦康親王の側にいる人間だったような。それで「そうあってほしい」思いがあって、無意識に道長を牽制したのか。

 ここで、現東宮の居貞親王の反応が誠にストレート。兄の花山院の訃報を受けて「これで冷泉天皇の子は私だけになってしまった」とショックを受けた後でもあるが(花山院はまだ若いよね・・・ウィキペディア先生によれば「宝算41」だとか。当時だとそれなりか。花山天皇 - Wikipedia)、「我が子敦明が天皇にならねば、冷泉の皇統は途絶える」からと、「中宮様のお産みになる子が皇子でないことを祈るばかりだ」とあからさまだった。返事に困るよね、道綱も。

 気の毒になったのが、定子の遺児・敦康親王。「子が生まれたら、私と遊ばなくなるのでしょう?」「私は中宮様の子ではありません。まことの子がお生まれになれば、その子の方が愛おしくなるのは道理です」と健気にも彰子に言った。

 その言葉に、これまでの彼女にしては、きっぱりと返答した彰子。

中宮彰子:親王様がほんの幼子であられた頃から、親王様と私は、ここで一緒に生きて参りました。今日までずっと。帝のお渡りもない頃から、親王様だけが、私の側にいてくださいました。この先も、私の側にいてくださいませ。子が生まれても、親王様のお心を裏切るようなことは、決してございませぬ。

 微笑みあう2人。真剣に耳を傾ける親王様が可愛いなあ。なんて気の毒な運命の親王なのだろう。皇后(当時)が産んだ天皇の第一皇子なのに。

まひろに優しい倫子様、赤染衛門・・・なんだけど

 彰子が出産のために宿下がりをして、まひろもお付きで土御門第にやって来た。その時、目が合ってにっこり微笑んで迎えたのは赤染衛門だった。倫子様も、まひろの仕事部屋として邸内に設えた場を、自ら案内した。

倫子:夜もゆっくり休めるようにと殿の仰せで設えた。ここで存分に書いておくれ。

まひろ(藤式部):有難いお計らい、誠にうれしく存じます。

倫子:人見知りで口数も少なく、笑顔もお見せにならなかった中宮様が、帝の御寵愛を受け、見違えるほど明るくなられた。藤式部の物語の力が、帝のお心を変え、中宮様も変えたのだと、殿から聞いておる。母として私は何もしてやれなかったが、そなたが中宮様を救ってくれた。心から、有難く思っておる。(深々と頭を下げる)

まひろ:そのような、御方様。もったいのうございます。

倫子:どうか、これからも中宮様を頼む。

まひろ:は。(頭を下げる)

倫子:我が屋敷は、そなたも若き日より慣れ親しんだところ。自分の家のように過ごしておくれ。

まひろ:(複雑そうな笑顔)

 昔と変わらない親しみを見せ、まひろにとても良くしてくれる倫子様と赤染衛門。だからこそ、道長とひっそり恋仲だったまひろも、道長の婿入り以来、遠慮して土御門殿から足が遠のいたわけだったが、ここで同居とは。お互いつらい。まひろの罪悪感を深める持って行き方だ。また吉高由里子が複雑で微妙な笑顔のうまいこと。

 倫子様ファンとしては「やはりもったいのうございますよ、そんな言葉を道長様と通じているまひろにかけるなんて」と、慈愛に満ちた、心底まひろに感謝している倫子様を見て悔しがりたくもなるし、知らぬが仏でいてほしい気もするし。ああ。

 ここでちょっと、まひろの彰子へのセリフが印象深かったので、メモしておく。

まひろ:傷とは、大切な宝なのでございますよ。傷こそ、人をその人たらしめるものにございますれば。

 誰しも欠点の無い全人(またうど)を求めがちだが、そうじゃない。傷こそ、その人なのだね。

倫子様、とうとう勘付いたか

 しかし、大石静の鬼脚本は甘くない。とうとう、勘の鋭い倫子様が、まひろと道長の関係に気づいたらしい場面がやってきてしまった。ああ・・・。

 それは、彰子がたくさんの加持の祈祷に守られながら、なんとか無事に皇子を産み果せて後の宴だった。この宴では、公任や実資、隆家あたりのリアルなエピソードがいくつもうまく使われ、それでいてドラマとしてもスリリングに運んだので面白かった。

 ドラマではまず、無礼講の席で「この辺りに若紫はおいでかな。若紫のような美しい姫はおらんなあ」とまひろに絡んできた公任が、「ここには、光る君のような殿御がおられませぬ。ゆえに、若紫もおりませぬ」と、まひろに返り討ちにされた。

 それを遠くから見た道長が、まひろを公任から救うつもりか「藤式部」と呼び、祝いの歌を皆の前で披露するよう命じた。

 まひろが歌を詠み、それに阿吽の呼吸で道長も歌を詠んだ。そのふたりの睦まじい様子を見て、ピーンと何か不快なものを感じ取った勘の良い倫子様が、宴会の席から下がってしまったという筋立てだった。

 ここら辺は、リアル道長が「自分を夫にして良かっただろう」みたいにドヤ顔全開でリアル倫子様を怒らせ、彼女が裏に引っ込んでしまったので道長が慌てて後を追ったという有名なエピソードを、ここぞとばかりにドロドロ昼ドラ風にアレンジして活かしている。

 公式サイトには、それが書かれている紫式部日記がちゃんと紹介されていた。

寛弘5年(1008)11月1日条

◆◇◆◇◆

上達部(かんだちめ)の席はいつものように東の対の西側だ。・・・渡殿の上に参って、今度も酔い乱れて騒いでいらっしゃる。

御簾(みす)があくと、大納言の君、宰相の君、小少将の君、宮の内侍というように座っていらっしゃる。右大臣(藤原顕光)が寄っていらして、御几帳の垂絹(たれぎぬ)の開いたところを引きちぎって酔い乱れなさる。

下座の東の柱下に、右大将(藤原実資)は寄りかかって、女房たちの衣装の褄(つま)や袖口の色や枚数を数えていらっしゃるご様子は、ほかの人とは格段に違っている。

左衛門の督(藤原公任)が、「失礼ですが、このあたりに若紫はおいででしょうか」と、几帳の間からお覗きになる。

源氏の君に似ていそうなほどのお方もお見えにならないのに、ましてあの紫の上などがどうしてここにいらっしゃるものですか、と思って、私(紫式部)は聞き流していた。

権中納言(藤原隆家)は隅の間の柱の下に近寄って、兵部のおもとの袖を無理に引っ張っているし、殿(藤原道長)は殿で、聞くに堪えない冗談を口にされたりもしている。

(宰相の君と)二人で御帳台の後ろに座って隠れていると、殿(藤原道長)は隔てている几帳をお取り払いになって、二人いっしょに袖を捉えてお座らせになった。「お祝いの和歌を一首ずつお詠み申せ。そうしたら許そう」と殿は仰せになる。

うるさくもあり、おそろしくもあるので、こう申し上げる。

いかにいかが かぞへやるべき 八千歳(やちとせ)の あまり久しき 君が御代(みよ)をば

「ほお、うまく詠んだものだな」と、殿(藤原道長)は二度ばかりお声に出してうたわれて、即座に仰せられることには、

あしたづの よはひしあらば 君が代の 千歳の数も 数へ取りてむ

あれほどひどく酔っておられる御心地にも、詠まれたお歌はいつもお心にかけておられる若宮(敦成親王)のことの趣なので、ほんとうにしみじみとそのお心もごもっともに思われる。

「中宮様(藤原彰子)、お聞きですか。上手に詠みましたよ」と、殿(藤原道長)はご自分でおほめになって、「中宮様の御父として、わたしは不相応でないし、中宮様もわたしの娘として恥ずかしくなくいらっしゃる。母上(源倫子)もまた幸福だと思って笑っておいでのようだ。きっとよい夫を持ったことだと思っているのだろうな」と、おふざけ申し上げなさるのも、格別のご酩酊の勢いにまぎれてのことと見受けられる。

殿(藤原道長)の戯れ言を聞いておられた北の方(源倫子)は、聞きづらいと思われたのか、お部屋へ引き上げるご様子なので、「お送りしないといって、母上がお恨みなさるといけないな」と言って、殿は御帳台の中をお通り抜けになる。

ちなみに日記には… 大河ドラマ「光る君へ」第36回より - 大河ドラマ「光る君へ」 - NHK

 そして、36回ラストで赤染衛門がまひろに問い質す。それまでの、左衛門の内侍の赤染衛門への「衛門様、このようなことでよろしいのでございましょうか」から始まった嫉妬いっぱいのチクリが効いてのことだ。

 左衛門の内侍は「衛門様は、昔から藤式部をご存知なんですのよね」「では、お聞きしますけれど、左大臣様と藤式部はどういう間柄なんでございましょう」「ただの主従ではありませんわよね」「藤壺でも、左大臣様は藤式部の局にしばしばしばしばお立ち寄りになるようになって、毎度ひそひそひそひそと」とオノマトペを駆使して何とか怪しげな方向に話を持って行こうとしていた。正解なんだけど。

 その場では「ありえませぬ」「大事なお話があったのでございましょう」と左衛門の内侍をかわした赤染衛門だったが、立ち去る時、笑顔が厳しい形相へと一変していた。

 そこから、まひろを見る目が変わった赤染衛門。例の、まひろが道長と即興で歌を交わし合った際にも、倫子が不快そうに席を立ったら赤染衛門が鋭い目をまひろに向けていた。

 廊下を行くまひろに、とうとう赤染衛門が声を掛けた。

赤染衛門:左大臣様とあなたは、どういうお仲なの?

 ひゃー!ここで次37回に続くだなんて・・・💦と、その時は思っていた。ところがどっこい。つづく。

 あ、中宮彰子は出産後の行幸で帝を迎える時、青い衣をまとっていたね。ここからシン彰子、彼女の本領発揮かな。

(ほぼ敬称略)


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